【女子学生キャリア】結婚後を見据えたスキル習得と結婚後も働く覚悟が必須?|「ガクチカ」よりも「ガキチク」

2021年5月13日キャリア,コロナとガクチカ

こんにちは!いつもありがとうございます。ガクチカ編集担当です!
みなさん、結婚後、出産後における理想のキャリアについて考えたことありますか?
「いやいや、まず理想の結婚から考えさせて」と思う皆さん、キャリアについては学生のうちから考える必要があるのです。

この記事ではその理由を示し、記事を読み終わるころには、ご自身のキャリアを考える上で重要な「軸」が定まるかと思います。

記事作成にあたり、大妻女子大学キャリア教育センターの井上俊也教授にお話を伺っており、スポーツを例に挙げてお話をしていただくなど、頭にすっと入ってくるような内容になっています。ぜひご一読ください。

井上俊也教授
愛媛県生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業、日本電信電話公社(現・日本電信電話株式会社)入社、HEC(フランス共和国 高等商業学校)卒業。NTT、NTTフランス、NTT東日本、NTT西日本などNTTグループで26年間勤務、主に営業、企画、国際業務に従事する。2011年より大妻女子大学キャリア教育センター教授として正課外のキャリア教育科目の「大妻マネジメントアカデミー」を企画運営。専門はスポーツビジネス、マーケティング、情報通信産業論。

日本における女性の就業状態はどのような状況でしょうか

日本において働いている人の男女比率は、先進国と大きな差はありません。労働者のうちの男女比率は、ほとんど欧米の先進国と変わりませんし、むしろラテン系の国と比べると日本の方が女性比率が多いくらいです。

ところが、国会議員についてはよく知られていますが、いわゆるリーダー層と言われる部長や課長で男女比率を比較してしまうと、日本は韓国と並んで女性の比率が急落してしまいます。日本は、女性活躍推進法等、女性向けの政策を実施しています。

しかし、基本的には女性が「働くため」の政策を実施してきました。女性が「活躍するため」の政策には着手できていないのです。赤ちゃんが生まれて子育てをしている人が働きやすい環境はあるが、部長や課長になるための仕組みは充実していません。

この点が、今後しばらく女性が直面する「壁」であり、私が問題意識を感じている事項でもあります。

女子学生のキャリア観についての課題はどういったものでしょうか

もともとの女子大学の存在意義からお話しさせていただきますが、かつては大学進学率も低く、大学はリーダー養成の場でした。そのような時代に女性にも高等教育を、そして男性と一緒だと男性の中で埋もれてしまうため、女性だけの世界を作りその中でリーダーシップを発揮できる人材を養成していこうという考え方で始まりました。

出典:http://journal.otsuma.ac.jp/2014no24/2014_104.pdf

人事管理で人材像を「リーダー型」「参謀型」「エキスパート型」「実務家型」の4類型に分けることがありますが、共学と女子大の女子大生に目指す人材像のアンケートを取った結果が上の円グラフです。

上記のグラフを見てみると、現在では男女共学の環境でも男性だけではなく、女性もリーダーシップをとる時代になっていることがわかります。その一方で、男性がメインで女性がサブというかつての価値観、職業観にとらわれている女性の大学生が少なくないことも事実です。これは共学、女子大に関係なく見られることです。

先ほどの「女子大の元々の存在意義」を考えれば、(上記グラフの)調査結果にある通り、この考え方は女子大よりも共学に残っているのかもしれません。女性だから男性だからということにこだわらずに自らの役割を考えてほしいと思います。

女性だから結婚後は専業主婦、もしくはパートだけしようという考えについてはどのようにお考えでしょうか

昔は一家の大黒柱と言われるように男性1人が働けば家族全員を養える給料がもらえていました。しかし、今は給与水準が下がっています。

つまり、男性1人の給料だけでは家族を養っていけないわけです。私が新入社員だった昭和の終わりごろと比較すると初任給は倍になっています。けれども、30代になったときの給与水準は上がっていません。だから男性以外も働いて生活を支えなくてはならない状況にあります。

※出典:https://nensyu-labo.com/nendai_30.htm
※統計元:国税庁「民間給与実態統計調査」(平成25年)

男性は結婚して妻に苦労をかけてしまう、女性も夫と共に働かなければならない事を、結婚するときは、覚悟しなければなりません。

そのため、就職後、数年経ちスキルを身につけることもなく、旦那さん見つけました、その後に退職というわけにはいかない社会になっています。

つまり、昔は旦那さんを見つけた段階で寿退職をするという流れで問題なかったのが、今では旦那さん見つけました、お疲れ様ですというわけにはいかない時代が到来しており、出産後、育児後の女性も復職して働くのが一般的な世の中になりました。

出産、育児に至るキャリアロスがしかたないとしても出産、育児で職場を離れる前にスキルをつけて、戻ってきたときにスキルをもって生きていくことが必要になります。

現代女性の結婚後キャリアとして具体的にはどういった例が挙げられるのでしょうか

良くない例から挙げますと、語学が得意だから商社に入りますというパターンはよくあります。商社自体に入ることは悪いことではありません。しかし、商社に入ってもアシスタントで良いと思ってしまい、男性がやってきた仕事のアシスタントとして補助的な事務作業ばかりをするとします。

そして結婚や出産を機に退職したとしましょう。その人が35歳くらいになって子育てが一段落して職場に戻ろうとしたときには、商社に戻っても同じ仕事に就くことはできないのです。

それは、「替えがきく」仕事であるため若年層、入社して間もない社員の方がより人件費が安く抑えられるため、会社としては復職者より新卒に枠を確保したいと考えることが要因の一つとして挙げられるからです。

良い例としては、商社で培った語学の力を生かして通訳やガイドになることを考えてみましょう。今、コロナの関係で厳しい職種かもしれませんが、自分の好きな時に自分のペースで仕事をできることは魅力的な人生になります。

例えば、土日に韓国のサッカーチームが来るから通訳してくれませんか?と依頼されたとき、土日は子供の運動会があるので、と言って断ることになってしまいますが、来週の火水木と国際会議で韓国人の方が4人くるから、通訳が2人必要なのでお願いできませんか?と依頼されれば、その日は空いているから可能です、と仕事を引き受けられます。

今挙げた話の通り、自分の時間を自由に切り売りできるようなスキルを持っていることが必要だと思います。

だから私は学生にも、今の時間を利用して自分の時間を切り売りできるようにスキルを身に付けて仕事をやってほしいと考えています。若い人には実感がわかないかもしれませんが、出産や育児という次の世代の面倒を見るだけではなく、介護といった前の世代の面倒を見ることも職場から離れる要因です。

今の20代、30代の人たちも将来必ず考えるべき時が来ます。介護のために、常に時間を拘束された業務が困難になる、ということもあるため、自分の時間を作れるようなスキルを身に付けてほしいと考えています。

寿退社で何もスキルを身につけずに退職してしまうことを、私は無芸退職と呼んでいます。昔はこの無芸退職が許されていました。

それは、退職後、もう一度仕事をする必要がないからです。スキルがなくても問題がなかったということです。炊事洗濯などの家事を切り盛りするスキルがあれば良かったのです。

でも今は違います。必ず復職しなければなりません。そういう経済状況に追い込まれています。だから、そのときに時給1000円になるのか。それとも時給がもう少し良くて、自分の好きな時間にできる仕事をやっていくのか、あなたはどちらがいいですか。

常に自分自身が30代、40代になった時のことを考えて、自分の時間を大切にできる仕事を出来るようになってほしいなと思います。就職先を選ぶ際にも、時間を切り売りできるスキルを身に付けられる会社を選ぶことが重要になります。

「男性がメインで女性がサブというかつての職業観に捉われている女性が少なくないことも事実」というお答えもいただきましたが、このことが社会に及ぼす影響はどんなものが考えられるでしょうか

「女性がサブ」という認識のままでは、日本はGAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleをまとめた略称)にいつまでも勝てないでしょう。あらゆる産業で日本は国際的に遅れをとることになります。直近の30年間で日本経済は、がたがたになってしまいました。

例えば、平成元年は世界のTOP20企業のうち14社が日本の会社でした。しかし、現在はTOP20に一つも入っていません。30年間で経済的に悪化してしまった日本をどうにかしたいという想いは、大学教授になった一つの理由でもあります。

日本経済悪化の一つの要因がダイバーシティの問題であり、女性参画の問題でもあります。男がメインで女がサブという認識であると、日本は国際的に勝てない状況が続くでしょう。

女性がビジネスにより多く参画することでどんな好影響が生まれるのでしょうか

好影響の最たる例としては、労働力人口が実質2倍になることが挙げられます。ビジネスはスポーツと違い、人数制限がないため、100人であろうと200人であろうと共に戦って良いわけです。

現状を例えるなら、日本はグラウンドに多くの人数がいるが実際にフィールドに立っている人は少なく、ベンチに座っている、もしくはフィールドの外から見守っているだけの人が多くなってしまっています。

男性も女性も関係なく皆、運動会の騎馬戦や棒倒しのように参加しているような状況があるべき姿なのです。多くの女性がビジネスという騎馬戦に参加することで、それまでは100騎しか戦力がなかったものが、200騎の戦力となり、倍の戦力で世界と争うことが可能になるのです。

学生に伝えたいメッセージはどんなことでしょうか

大学の役割は変わってきています。日本は先進国の中では大学進学率は低いですが、かつてよりもはるかに高くなりました。リーダーだけではなく様々な人材を養成するようになりました。ただ、社会の高度化に伴い、どの職種であろうと知が要求されるようになりました。

フランシス・ベーコンのいうところのKnowledge is power. 「知は力なり」です。よく学んだ者が報われる社会にしていくのは私たち大人の責務です。

学生の皆さんはよく学んでください。そして忘れてはならないことですが、日本は残念ながら高学歴社会ではなく合格歴社会であるということです。どの学校に合格したかではなく、何をどれだけ学んだかで評価される社会を作っていく、これも大人の責務です。

また、女性へのメッセージとして、男女共同参画とは言っても、出産、育児による休職などのキャリアロスが男性に比べて多いのは事実です。出産、育児で仕事を離れ、一段落したら仕事に復帰するというのがM字カーブです。

キャリアロスを越えて復帰した時にどのような仕事ができるのかを考えてほしいと思います。出産、育児休職前に身に付けたスキル以上のものは復職後には期待できないと考えてください。

したがって、キャリアロスを越えても通用するようなスキルを身につけてほしいと思います。一昔前、女性は結婚、出産、育児でそのまま家庭に入るケースが主流でした。いわゆる寿退職です。

しかし現在は女性に対する期待、そして経済状況から女性は出産、育児からの復職を前提としたキャリアプラン作りが必要です。退職前にスキルをつけないと無芸退職になってしまいます。無芸退職すると復職しようと思ってもスキルがないので無芸無職になってしまいます。 

このサイトは「ガクチカ(=学生時代に力を入れたこと)」という名前ですが、私は「ガクチカ」よりも「ガキチク」が重要だと日頃から話しています。「ガキチク」というのは「ガキの頃からの蓄積」、つまり子供の頃からの積み重ねです。これがスキルの基礎となるわけです。

復職するときには、その人が人生を生きてきて、どんな経験やスキルを積んできたのかが重要になります。これは復職の時だけではなく新卒の就職や転職も同じです。

WEBテスト、大学の授業、新大学入学共通テスト、アルバイト、部活やサークル、旅行、飲み会の幹事などは、あなたの「ガキチク」が試される、鍛えられる機会なのです。

「ガクチカ」の定番である部活やサークルは、運動系、文科系関係なく、社会の縮図のようなもので、上下関係がある中でどのようにチームをマネジメントするかが試されます

学生時代の印象的な経験として定番の旅行も同様です。計画性、予算管理、進捗管理などのプロジェクトマネジメント力が必要になります。アルバイトでどれだけお金を稼ぎ、どういった予算で旅行を計画するのか、飛行機の時間を調べ、ホテルを調べ、旅行スケジュールを立てる。

事前準備の良し悪しで旅行の楽しさが決まるため、「ガキチク」のある人の方が事をうまく進めることができるでしょう。

ぜひ、大学生は若いうちに学業以外にも多くの学びを経験してほしいと思います。「ガキチク」に裏付けられた「ガクチカ」か、面接試験のための「ガクチカ」かというのは簡単に見分けられます。就職試験の最終面接が学生生活のピークとならないよう、将来を見据えて学生生活を送ってください

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あとがき

女子学生のみなさんの多くが結婚したいと考えていると思います。女性にとって、寿退職が困難になりつつある世の中では、自分の時間を切り売りすることができるようにスキルを磨くことも、1つの結婚準備なのかもしれません。

結婚後にどんな生活、働き方をしたいのかを考えたうえで自身のキャリアを選択してみてはいかがでしょうか。

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2021年5月13日キャリア,コロナとガクチカ

編集担当者 tsukasa-watanabe