【コミュニケーションのプロに聞く】コロナ禍の学生生活とキャリア設計の薦め

2021年5月13日キャリア,コロナとガクチカ

中津川智美教授プロフィール

所属常葉大学 経営学部 経営学科
職名教授/経営学科長/副キャリアサポートセンター長(浜松)
学位博士(心理学)
専門分野社会心理学、対人・組織コミュニケーション

みなさん、こんにちは!

1月7日に2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、まだまだコロナの影響が続いていきそうな2021年。コロナ禍における学生生活や、将来のキャリア設計に不安を感じている人も多いのではないでしょうか?

今回は常葉大学で組織・コミュニケーション論を研究している中津川教授にインタビューを行い、コロナ禍だからこそ学生が意識するべきスタンスや今後大事になってくるコミュニケーションの在り方についてお話を伺いました。

組織・コミュニケーション論の専門家はどんな研究をするの?

–中津川教授の研究内容について教えてください!

端的に言うと、人とのコミュニケーションの中で生まれる「対人葛藤」、特に日本人の葛藤潜在化について研究しています。

–難しそうです、、、

人とコミュニケーションを取っていると、
この人とは考えが合わないな
自分のやりたいことがブロックされてるな
自分の目標と対立しているな
といった不満を感じることがありますよね?

心理学では、コミュニケーションの中でこういった不満を抱えた時点で問題がある、対人葛藤があるという考え方をします。

この対人葛藤を抱えたときに、人が示すのは自分を大切にする行動を取る「自己志向性」か他者を重んじる行動を取る「他者志向性」の2つです。

欧米の理論で、自己志向性を取る人は他者に何かを強いる「強制方略」、他者志向性を取る人は自分を抑えて他者に合わせてしまう「服従方略」、両方を重要視する人は自分も他者も大切にする「統合方略」、自己志向性も他者志向性も取れない人は問題を解決せずに流してしまう「回避方略」を取ると言われています。

–少し理解できました!その対人葛藤に対する対応について、特に日本人に焦点を当てて研究されているということですね?

はい。日本人は実際のところ「回避⽅略」を取る⼈が多いのですが、欧米の理論に基づくと残念なことに問題を解決する能⼒がない、win-winな関係を築ける「統合⽅略」を実現する⼒がないということになってしまうんです。私の日本人の葛藤潜在化についての研究は、日本人はスキルが低いわけじゃない、戦略があって葛藤を隠しているんだということを海外の人に伝える為に行っています。

将来重要になるコミュニケーションの在り方とは?

–人生最後の夏休みと言われる大学生。今後社会に出て働いていくわけですが、教授の考える社会人として重要なコミュニケーションとは何でしょうか?

コミュニケーションにおいて最も素晴らしいのは「統合方略」、皆がwin-winな関係を築くことです。

学生さんたちの中には、「社会に出たら上司の言うことを聞かないといけない」(服従方略)と考えて不安に思っている方も多いと思いますが、そんなことは全くありません。

私はとにかく今の若者には、社会に出ても自分の思っていることを周囲に伝える、たとえ上司が相手でも自由に自己表現をするということを大切にして統合方略を実現することに注力してほしいです。

–本当に上司は自由な自己表現を許してくれるでしょうか?

そういう不安は理解できます。確かにそんなこと大人は許してくれないと考える人もいるかもしれませんが、大人はむしろそういった振る舞いを歓迎してくれると思います。IT化、グローバル化が進んでいく中で社会を作っていくのは、これからの若者達です。むしろ大人は置いてきぼりになる側で、必死にキャッチアップしたいと考えています。

私も学生との触れ合いの中でそんな考え方もあるのかと感心することが多いので、若者には失敗を恐れず、社会に出ても自由に豊かな価値観・意見を表現していってほしいです。それが、社会人として重要な統合方略の実現に繋がっていくと思います。

–学生の中には自己表現することに関して苦手意識を持っている人もいると思います。教授は、学生生活の中でどのように自己表現する力を鍛えていけば良いと考えますか?

学生には、地域や会社と連携する活動、学生団体、インターン、サークル、アルバイトなどたくさん他者と関わる機会があります。

そういった機会に積極的に挑戦していくのが良いですね。

他者とかかわる機会や未経験なことへの挑戦を増やしていけば、自分と気が合う仲間や、自分に向いていることが少しづつ見えてきます。それらの経験が、いわゆる自己分析となって、自分のスタイルやどんな状況でも自己表現ができる自信の確立を助けてくれると思います。

–そもそも挑戦する勇気が出ないという学生はどうすれば良いのでしょうか?

そういった学生におすすめなのは小さな勇気を積み重ねることです。ゼミの学生にもよく言うことなのですが、毎日早起きしてみたり、ごみ拾いをしてみたり、遅刻をしなかったりということを継続することで、意外に自分に自信が出てきてチャレンジできるようになっていきます。試してみてください。

キャリア設計で迷ったときに大切にするべきことは?

–最近終身雇用は成り立たなくなるということをよく耳にします。今の学生たちは将来自分でキャリアを選択する時が訪れるわけですが、そういった時に大切にするべきことを教えてください。

人生100年と言われる時代ですから、おそらくキャリア選択の時、ターニングポイントはたくさんあります。

そういった時に大事なのはとにかく自分を大切にする、自分の価値観を大切にするということです。自分で選択するということは怖いですし、もちろん迷いも出てきます。

私も以前は会社で働いていたので、会社を辞めて教員を目指す決断をする際はとても迷いました。会社で働くことはとても楽しかったし、教員が本当に自分に向いているかどうかも分からなかったです。その時の私は会社で働きながら、家庭教師のアルバイトもやってみることで、自分が本当にやりたいのは教員なんだという踏ん切りをつけることができました。

今は副業もできる時代なので、皆さんもそういった迷いが出た際にはどちらもやってみるのも一つの方法かもしれません。

–勉強になります!

とにかく大事なのは、自己分析をして自分が本当にやりたいことを表現できる道を選び取っていくことです。今の若者には自分を大切にして、自分で開発していくキャリア設計を期待しています。

コロナ禍において学生が意識するべきことって?教授からのエール

–現在コロナの影響で楽しい生活を送れていない学生も多いです…苦しむ学生に教授からエールをお願いします!

まず学生に忘れないでいて欲しいことは、学生時代は限られていて若い時代も限られているということ。

確かにコロナの影響が広がる中で、例年と同じような生活を送るのは難しいです。しかしだからといって、何もせずに大学生活を無駄にするということはやってほしくありません。

コロナ禍だから何もできないと諦めてしまうのではなく、コロナ禍だけどできることを見つけていく、やっていくというスタンスを持って挑戦していってほしいです。

今はSNS、zoomなど様々なツールがありますから、工夫次第で他者とつながりを持ちコミュニケーションを取ることはできると思います。

何かができないと全部できないという考え方ではなく、できることの中で楽しめることを見つけるスタンスで、難しい状況の中でも最大限楽しむ方法を探していってください。

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2021年5月13日キャリア,コロナとガクチカ

編集担当者 岡本 清哉