【テクノロジー系起業家が集う場所】「つくばスタートアップパーク」ってなんだ?

2021年5月27日学生起業

こんにちは!いつもありがとうございます。ガクチカ編集担当です。

いきなりですが、「スタートアップ支援の仕方」にはどのようなものがあるか、ご存知でしょうか。起業家コミュニティ?ベンチャーキャピタル? 知っているようで、謎に包まれたスタートアップ支援ですが、興味のある方も多いと思います。

今回取材させていただいたのは、「つくば市スタートアップ推進室」様です!

つくば市スタートアップ推進室は、「筑波研究学園都市」がある茨城県つくば市役所の部署の1つです。 今回は推進室の方々が直営するインキュベーション施設、「つくばスタートアップパーク」について詳しくお話いただきました。 スタートアップへの就職や自治体の先進的な取り組みに関心のある方、起業に挑戦したいと考えている方、必見です!!

屋代 知行つくば市政策イノベーション部スタートアップ推進室 係長(つくば市産業振興センター兼務)つくば市出身。大学卒業後(化学専攻)、民間研究職を経て2006年につくば市役所へ入庁。経済産業省(2008~2010年)への派遣、企画、防災、シティプロモーション、現市長の政策秘書などを経て現職。4児の父であり、3度の育児休暇を取得(2か月、3か月、8か月)。土日深夜は欧州サッカーを観ていることが多い。

 

馬場 えり奈つくば市政策イノベーション部スタートアップ推進室 主任(つくば市産業振興センター兼務)つくば市出身。大学卒業後、都内でシステムエンジニアとして6年間勤務ののち、2018年につくば市役所へ入庁。国民健康保険課を経て現職。当室では慣れないカタカナ文字に翻弄されながら、未来のつくばのために奮闘中。趣味は、書道、ピアノ、ハイキングなど。

「つくば市スタートアップ推進室」とは

■早速ではございますが、「つくば市スタートアップ推進室」とはどのような部署なのか教えていただけますでしょうか。

屋代さん :つくば市のスタートアップ推進を市政として始めたのは、2016年11月に就任した現職の五十嵐市長です。

少子高齢化、都市への人口移動など既にあるものやこれから顕著になるものなどの社会課題を解決する鍵はテクノロジーだと実感しており、それは、世界有数の研究機関やスタートアップに力を入れる筑波大学が集まる筑波研究学園都市の使命でもあります。

その社会課題の解決には、市民への製品・サービスという「事業化」が無ければ成されません。

これまで筑波大学や産総研などがスタートアップ創出で成果を出し、NIMS、JAXA、農研機構などが力を入れ始めた機運を、つくば全体で成長させていくことが必要と感じ、2018年4月に「スタートアップ推進室」を新しい部署として設置しました。

「つくばスタートアップパーク」とは

■「つくばスタートアップパーク」について詳しくお話しいただけますでしょうか。

馬場さん:はい。「つくばスタートアップパーク」(通称:スタパ、正式名称:つくば市産業振興センター)は、約150の研究機関が集積する研究学園都市つくばの強みを活かし、テクノロジー系のスタートアップ支援を核とした多様な起業ステージに対応するインキュベーション施設です。

サービスの内容としては、誰でも自由に利用できる「交流スペース」や「カフェ」に加え、起業に関するセミナーやイベントが開催できる「セミナールーム」や会員限定で利用可能な「コワーキングスペース」などがございます。コワーキングスペースは、オフィスとして使用したり、専門家との相談会場として利用可能です。また、施設マネージャーによる起業に関する相談も随時受け付けています(平日のみ)。

学生起業家を応援するため、コワーキングスペースやセミナールームの利用料は、市内の学生であれば半額になる減免制度もございます。施設利用については、詳しいことはホームページをご覧ください(HP:https://tsukuba-stapa.jp/)。

*つくばスタートアップパーク 内観

■なるほど。これは起業家や目指す方々にとっては助かる施設ですね!なぜ、この「スタートアップ支援」という取り組みをつくば市(=行政)が行うことになったのでしょうか。

屋代さん:先ほどの当室の設置でも述べたとおり、テクノロジーが多くの社会課題を解決する役割を担うためには、これまで以上につくばに集積する研究シーズをスタートアップさせていく必要があり、行政としてつくばのスタートアップエコシステムを構築していくことを掲げました。一般的にスタートアップへの支援というとベンチャーキャピタルからの資金調達や大企業との共同事業による技術リソースの獲得などがあります。

しかし、これらはほとんどが創業期〜事業化期〜成長期のステージに集まっています。潜在的企業希望期〜設立準備期へのリスクマネーはほとんどありません。特にディープテックと言われる分野は、スマートフォンを使ったアプリなどとは違い、製品開発や顧客獲得のスピードが長期間になるので、リスクマネーはより入り難くなります。しかし、そこに手を入れなければ、いくら研究シーズが豊富なつくばとは言え、スタートアップは増えないと感じました。

そこで、市としてスタートアップを政策的に進めるため、まちづくりアドバイザーとしてAIスタートアップの株式会社imaの三浦亜美氏(現グローバル拠点都市 東京コンソーシアムアドバイザー)を招聘し、2018年4月に「スタートアップ推進室」を立ち上げました。と同時に任期付職員として起業経験を数回持つ「スタートアップ推進監」を民間から採用しました。人的リソースを確保してからは、筑波大や国研、金融機関、スタートアップ、市民などから成る有識者会議で市のスタートアップ支援のあるべき姿を議論し、その成果として2018年12月にスタートアップの設立から事業化、その後の成長を一貫して推進する支援策を提供するための「つくば市スタートアップ戦略」を公表しました。そこでは24の施策を掲げていますが、特に重要な課題に対する施策の1つとして、つくば駅徒歩5分圏内に「つくばスタートアップパーク」をオープンさせました。ここでは特に「潜在的企業希望期〜設立準備期」となる学生や研究者をターゲットに、オープンなコワーキングスペースを生かした仲間探しや情報提供、相談業務を展開しています。

2018年12月に「つくば市スタートアップ戦略」を策定し、つくばのスタートアップエコシステムの構築に向けて、現在も関係機関と共に歩みを進めています。

■「つくばスタートアップパーク」発のスタートアップ企業はどの程度あるのでしょうか。

屋代さん :令和2年度末時点で、11社のスタートアップ企業がスタパ経由で生まれています。大半がテック系の企業になり、アプリ開発やWebシステムなどのサービスを展開しています。

現在は、つくば市民や筑波大学関係者の方々に多く利用していただいていますが、今後は東京やその他の地域の方も積極的に誘致していきたいと考えています。

実際、コロナ禍ではオンラインイベントを多く開催していますが、最近では市外からの参加者も増えています。この輪がどんどん広がっていくことを願っています。

*イベント時の様子

今後の展望

■「つくばスタートアップパーク」の今後の展望がございましたら、教えていただけますか。

屋代さん:今後は、市役所だけでなく、研究機関と共にエコシステムの具現化に取り組んで行きたいと考えています。つくば市にいけば、研究機関と一緒にビジネスができるし、起業家としても成長ができる。そんな認知を日本中に広げていきたいですね。加えて、起業に関心がある多くの学生が挑戦できる場所にしていきたいと思っています。

馬場さん:「スタパ」はつくば駅や筑波大学から近い所にあるので、コロナが収まったら多くの学生に利用していただきたいですね。また、私個人の意見ではございますが、「スタパ」に集まる人が全員起業をする必要はないと思っています。起業家を自分なりの方法で支えたい、新しいことに挑戦したいという意思と熱量をもった方々が集まる場所にしていきたいと考えています。

■大学生が「つくばスタートアップパーク」に起業以外のかたちで関わることは可能なのでしょうか。

馬場さん:そうですね、1Fの交流スペースは自由に出入りできますし、無料イベントへの参加も大歓迎です。

また、現状はアルバイトや長期インターンの制度はございませんが、個別でご相談があれば対応も検討中です。実際、研究機関の研究者や大学の教授がスタートアップに関わっていますが、人手が足りないという声を届いています。なので、学生の皆さんを巻き込んで一緒に活動することも視野に入れながら、現在構想を練っています。

*つくばスタートアップパーク 外観

学生へのメッセージ

■最後に、お2人から全国の学生にメッセージをお願いします。

屋代さん:つくば市に集結している研究機関の多くがディープテックと呼ばれる領域を専門としています。自分にはなじみがなく、研究者の方と話すことも不安に思う学生の方もいるかと思います。しかし、実際は、多くの研究者たちは学生に対してオープンな方が多く、学生の若い力を必要としています。

普段は出会えないような研究機関の方々とビジネス経験を積めるチャンスがつくば市にはあります。

学生の皆さんには、是非ともつくば市に足を運んでほしいと思っています。遠方に住んでいる方でも、スタートアップ推進室に問い合わせていただければ、いつでもご対応いたします。起業家や技術者としてのキャリアを志す学生の皆さんの力になりたいと考えています。

馬場さん:私もそうだったのですが、学生の間は、忙しいものの自由な時間もたくさんあると思います。

「スタパ」に来れば、面白い機会に出会えるチャンスが沢山転がっています。

スタートアップには、社会で起こっている様々な課題に、新しいビジネスモデルや技術で挑戦していこうという志を持った方が多くいらっしゃいます。その視野、考え方、生き方に触れることは、キャリア選択の岐路にある大学生のみなさんにとって、とても刺激になると思います。もし少しでも興味があれば、是非一度「スタパ」に足を運んで下さい。

またオンラインでのイベントも定期的に開催していますので、遠方の方も、興味があるテーマに気軽に参加してみてください。いつでもお待ちしております!

■本日はありがとうございました!!

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2021年5月27日学生起業

編集担当者 秋永竜輝