【TXアントレプレナーパートナーズさんに聞く!】ビジネスにおけるエコシステムってなんだ?

キャリア,コロナとガクチカ,学生起業

みなさんエコシステムという言葉を聞いたことはありますか?

本来、生態系を意味する言葉ですが、ビジネスの場面においてもこの言葉が使われています。

自然界の中で様々な生物がかかわりをもって共存しているように、ビジネスにおいても業界などの枠を超え、互いに協力し合うことで広く共存共栄していく仕組みがあります。

今回は、技術をビジネス化することで社会普及させることを目的としている、スタートアップ支援組織「TXアントレプレナーパートナーズ」の後藤さんと尾﨑さんにお話をお伺いしてきました。

(写真左下:後藤良子さん、写真右下:尾﨑典明さん)

TXアントレプレナーパートナーズとは?

■本日はよろしくお願いいたします。早速ではございますが、お二人から自己紹介をいただけますと幸いです。

後藤さん:TXアントレプレナーパートナーズ(以下TEP)で理事をしております後藤と申します。私は立ち上げ当時から参加をさせていただいていて、TEPが本拠点としている千葉県の柏の葉キャンパスの街づくりにかかわる中で、TEPを立ち上げていったという経緯をもっています。学生の頃はアーバンデザインや都市計画を学んでました。

尾﨑さん:TEPの副代表理事の尾﨑です。私も元々の立ち上げ段階から、コンセプトに共感をして、参画させてもらいました。普段は中小企業やスタートアップ、大企業のコンサルタント、たまに大学で教えたりしています。特に事業開発や商品開発などのお手伝いをしています。

■ありがとうございます。続いてTEPとはどのような団体なのか教えていただきたいです。

尾﨑さん:TEPは技術をもったスタートアップをどんどん輩出するために、お手伝いをする団体です。組織自体は一般社団法人なので、日頃は後藤さんも私も別の仕事をやっていて、プロジェクトベースで人が集まっています。エンジェル投資家や、コンサルタント、そして弁理士や弁護士といった様々な人たちが集まっています。

多様なバックグラウンドをもった方が集まっている団体なのですね。実際に普段どのような活動をしているのでしょうか?

尾﨑さん:メインの活動として、月に1回プレゼン会を開催しています。いろいろな支援を求めるスタートアップの皆さんが、プレゼンできる機会を設けていて、大体1回につき2社ほどにプレゼンをしていただきます。そのプレゼンをメンバーが聞いて、支援可能かどうかや、投資したいと思うかどうかを検討し、引き続きコラボしていきたいかどうかを判断します。引き続きコラボすることが決まった場合、その後フォローを続けていくという形になります。

もう一つは、TEPのメンバーの中にアドバイザリーボードという枠組みがあります。市町村や都道府県などの行政のほか、大学や研究機関、公的なインキュベーション施設などに入って頂いています。従来ならこれらの組織は支援対象としている区域内・対象範囲内のスタートアップに対して支援を行いますが、TEPのプラットフォームを通じて横に連携したり、TEPと連携することで、通常はできない複合的な支援の提供を実現しています。

スタートアップを単独で支援をするということではなく、スタートアップが次々と生まれていくような社会をつくっていきたいということがTEPの1つのミッションです。つくば市や柏市、筑波大学やJAXA、産総研、NIMSといったところと連携しながら、新しいことにチャレンジする人たちを生み出していくための基盤をつくろうとしています。

エコシステムの成り立ち・学生としての関わり方

いろいろな方々が協力しあってできている組織なのですね。協力する方が多くなれば多くなるほど影響力が大きくなる一方で、全員が同じ方向を向いて推進していくことが難しくなるのではないかと思いますがいかがでしょうか?

尾﨑さん:いろいろな人が集まってくると、利害関係があったり、思惑がちょっとずつずれていたりするので、うまくまとめることが困難であることも確かです。

多種多様な思惑がある中で、共通して言えることは、「スタートアップがどんどん出ていく世の中の実現が、社会を活性化させていく上で重要である」という認識をもっていることです。

ある意味一般社団法人として運営しているということが一つ肝になっています。どこのステークホルダーにも肩入れしない中立性と透明性があり、だからこそ、第三者機関としてしっかりと発言ができます。

国からお金を貰っていると、国側にバイアスがかかってしまい、企業からお金を貰っているとその企業側にバイアスがかかってしまいます。

しかしTEPがやらなければいけないのは、スタートアップを育てて良い社会にするということです。スタートアップはどちらかというとお金があまりないことが多いです。お金をもっている所の意見を聞いた事業の在り方ではなく、むしろスタートアップ主体に考えつつ、周りがどう支援できるかということを、TEPが中立的に設計しながら、いろいろなプロジェクトを参画メンバーと回していくというような状況です。

後藤さん:TEPに集まっているエコシステムのメンバーは、業界もバラバラです。行政の方だったり、民間企業のVCの方だったり、個人の方がいたり、それぞれの立場が大きく違うという特徴があります。エコシステム全体としてうまく回して、かつスタートアップの成長という目的に向かって運営していくためには、それぞれの立場を我々運営メンバーが理解して、それぞれにとって良い方向性となるよう意識しながら、マッチングや運営をしていくことが非常に大切だと考えています。

■ありがとうございます。エコシステムの中に学生として、貢献出来たり、関わっていけたりする場面があればぜひ教えていただきたいです。

後藤さん:TEPとしては特に年齢を気にしていないので、たとえば、学生の起業家の方をTEPでサポートしている事例も当然あります。さらに、将来的に支援側に回りたいとか、投資家になりたいので学びたい、といった方もいればぜひジョインしていただいて、いろいろ勉強していただくというのもいいかなと思います。

尾﨑さん:学生で特に起業したいという思いがある人は、どんどんいろいろなところにアプローチしていくと、ネットワークが広がっていくと思います。学生ベンチャーでもたまに我々のプレゼン会でピッチしたりすることもあります。

あとは、筑波大学のプログラムの中では、起業をするためのイロハや、社会的な知識などを広く教えるような講座もやっているので、学生にとって為になる機会というものはたくさんあるのではないかと思います。

我々TEPであれば、まず問い合わせをしていただいて、ご自身の興味があることやビジネスアイデアなどをお伝えしてもらえば、お話を聞かせていただきます。さらにいわゆる支援側について学びたいということであれば、ボランティアなどで協力していただきながら、学ぶというような機会をつくることができるかもしれません。お問い合わせいただければ、役どころをうまいことみつけつつ、一緒にできることもあるのではないかと思います。

大学や研究機関に眠る技術の可能性

ありがとうございます。先ほどお話にでてきた筑波大学さんとの取り組みについても、お話を伺いたいです。

尾﨑さん:TEPと筑波大学の関係は6、7年前から始まっています。筑波大学としても、スタートアップを育てていくことや、大学の技術や研究内容などを世に出していきたいというような思いがあります。我々の団体には、起業や事業化に関するプロが集まっているので、そこでまずお声がけいただいたというような経緯があって、お手伝いしています。

その中のプロジェクトとして、次世代アントレプレナー育成事業(以下EDGE-NEXT)社会還元加速プログラム(以下SCORE)という事業があります。

EDGE-NEXTの場合は、特に技術をもっている先生や大学院生を対象にしているもので、TEPのメンバーなどがメンターとして付くことで、事業プランをブラッシュアップしていくという内容になっています。

さらに最終的には事業化を目指すプログラムも存在していて、これがSCOREというプログラムになっています。そのプログラムでは、より確度が高く、実現性が高まっている技術を、実際に世に出すことを目的にメンターが一定期間伴走して支援する形になっています。このプログラムでは、国から年間500万円や1,000万円などが支給されることもあるので、そのお金でより研究を高度化しPOCを試みたり、事業化に向けたリサーチをしたりして、最終的に事業化していくというようなプログラムになっています。

大学に眠っている研究や技術を世に出していくことの大切さや、その結果どんな未来が待っているのかについてお伺いしたいです。

尾﨑さん:多様な切り口からイノベーションは起こりますが、その中でもテクノロジーが重要な切り口になるような場面が多いと感じています。宇宙開発などテクノロジーベースで始まり、社会をよりよくしていくものもあれば、ビジネスモデルの切り口から始まったアイデアでも競争力の源泉にはテクノロジーが関連しているということも多いです。

イノベーションにとって非常に重要な切り口となるテクノロジーが、大学や研究機関には眠っています。その眠っている技術がしっかり事業化されれば、よりイノベーションに寄与できるのではないかと考えています。

テクノロジーシードが必ずしも研究機関、大学にあるわけではないかもしれませんが、アカデミアから出てくるシーズは高度なものが多く、それらが社会に実装されることにはすごくインパクトがあります。我々はそういったことを見据えながら、支援をしているというような状況です。

学生へのメッセージ

ありがとうございます。大学生のうちから、アントレプレナーシップなどに興味をもって取り組んでいるという方も増えてきていると思います。大学生のうちからやるからこそ得られるメリットがあれば教えていただきたいです。

尾﨑さん:圧倒なメリットは、まだ皆さん若くて時間があるということです。学びのタイミングは早ければ早いほどよいと私自身は捉えています。学生のうちに時間があるのであれば、行動力や使えるIT技術などを武器にどんどんサービスを作ってみたり、起業してみたりするのも良いと思います。そういった経験をすることは、今後起業するわけではないにしても社会に出たときに、学ぶものが大きいと思います。

近年では大企業なども、これまでやってきたことの延長戦だけでは生き残ることが難しく、スタートアップと連携したり、スタートアップを買収したり、新しい道を切り開いていけるような人材を登用したりということを行っています。

大学等で決められた勉強だけを行っているのであれば、それには危機感を感じてもらい、むしろホッピングするようなアプローチで実学をどんどん取り入れるために自分で考え経験をすることが非常に重要です。

失敗しても死にはしないので、どんどんトライして、どんどん失敗して、より良いものに改善していってください。そうすれば、そういった経験をしたことがない人たちと比べた時に圧倒的な力の差になっていきます。

社会に出ると、失敗が怖くなったり、難しくなってしまうケースもあります。今のうちにたくさんチャレンジして、嬉しいも悲しいも何でも経験するということが大切だと思います。

最後の質問になりますが、お二方から学生のみなさんにメッセージを頂けましたら幸いです。

尾﨑さん:若いというのはすごく大きな力です。失敗しても死にはしないし、死ぬこと以外はかすり傷みたいなものです。学びしかない分、どんどんチャレンジしてもらい、世界を見てもらいたいということが一番お伝えしたいメッセージです。今あることが当然だと思わずに、社会のあたりまえを少し疑うという捉え方をしてもらうと、むしろあるべき姿を追い求める姿勢や信念、自分の頭で考えて行動することができてくるのではないでしょうか。

後藤さん:是非海外を見に行っていただきたいと思います。今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、難しい側面もあると思いますが、世界を自分の目で見て、世界中の人たちと話をして色々な価値観を知り、自分の価値観や揺るぎない信念みたいなものを築いておくということが、社会に出た後にも軸になるし、個性にもなります。

その軸があるかどうかによって、そのあと歩む道も大きく変わってくると思うので、学生の間に自分は何が正しいと思っていて、何をしたいのか、社会に対して何を変えるべきと思っているのかなどを、悩みながら見つけていくというのが大事だと思います。

そのために社会を見る、世界を見るということがとても大事であり、目の前にある小さな課題に対しても、まずはその時自分のできる範囲で取り組んでみて、少しでも経験値を上げていくということも大事だと思います。

ありがとうございます。

状況を言い訳に諦めてしまったことや、挑戦できなかったことが思い浮かぶ方もいるのではないでしょうか?

様々な制限があり、なかなか従来通りの生活を送ることができない今ですが、裏を返せば私たちは激動の時代を楽しめる世代でもあります。

ぜひ学生の皆さんは、時代に適応しながら価値観をアップデートしていきましょう。

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