【起業は甘くない】大学生がアプリ開発で起業するときの注意点とは?
こんにちは!大学生がSNSアプリを立ち上げて起業、ってなんだか憧れますよね。でも、学生起業で成功できるのはほんの一握り。
今回は、大学2年生でアプリ開発を行い、起業したものの、無念にも会社をたたんでしまった大学生を取材しました。今回取材を受けてくれたのは、慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC)の4年生、冨田大貴さんです。
冨田さんは、現在ご自身で始めたブログもメディアとして続けていらっしゃいます。
大学生でWeb事業に興味がある方、必見です。

高校生で始めた、テニスのまとめブログが人気急上昇
ーー大学に入る前はどんな学生だったのですか?
冨田:高校はテニスをがっつりやっていました。部活とテニススクールに精を出していましたね。
ーー部活に打ち込んでいたんですね。
冨田:はい。高校二年生の時に、色々な大会に出たんです。特に、関東の強いジュニアの子たちと試合することが増えました。そこである不便を感じたんです。
ーーどんな事が不便だったんですか?
冨田:テニスの大会によって、申し込み方法が異なるし、結果もバラバラに管理されているので、エントリーも対戦相手の情報収集もどちらも大変だったんです。
僕にとってはすごく不便でした。中学生のころからずっと感じていた課題だったので、なんとかしたいなと。そこで、アメーバブログでテニスの大会についてまとめるブログを始めたんです。小学生から高校生の、全国大会に繋がるような大会のトーナメント表や申し込み方法、試合結果をまとめました。
ーーすごい!それは需要ありそうですね。私もバレーボール部だったのですが、そういうのがあればよかったなあ。
冨田:需要はすごくあって、やはり僕と同じようなことで困ってる人がたくさんいたんですよね。
ユーザー数はうなぎのぼりで、夏の大会が多い時期には、一日2万アクセスくらいありました。アメブロのスポーツ部門では2位を取ったこともあります。これだけで将来稼げるのでは?と思い始めていましたね。
ーー2万アクセスですか!高校生でそれだけのアクセス数を稼げるなんてすごいですね。
冨田:毎日更新しないといけなかったのが大変だったのですが、やはり需要もあったし、一時は大学に行かずブログなどで稼ごうとも思ってました。でも、高校の先生や親には大学に行けとさんざん言われたので、高3の頭くらいから受験勉強をし始め、慶應に入学しました。
ーーWebの知識はどこで身に着けたのですか?
冨田:高2の時に、初めて本を買いました。アメブロは広告があまりつけられないので、自分でサイトを立ち上げようかなと思ったんです。でも、あまりクオリティの高いものは作れませんでした。大学ではプログラミングが必修なので、そこで基礎的なことができるようになりましたね。
ーー挫折はありましたか?プログラミングは難しそう…。
冨田:挫折ありましたよ!特に、Ruby on Railsというアプリ作成のフレームワークは、本当に難しくて。真っ赤なエラー画面を見るのがトラウマです(笑)
ーーやっぱり難しいですよね。それでもチャレンジすることが大切なんだと思います。
大学2年でアプリ立ち上げ、そして起業
ーー冨田さんは、大学2年生の時にアプリ開発や立ち上げを行ったと伺ったのですが、そのことについて教えてください。 まず、どんな経緯で起業するに至ったのですか?
冨田:大学のクラスの同期に、毎日あらゆるニュースを見ていて、めちゃくちゃ詳しい奴がいたんです。
ある日、夜二人で歩いていた時に、「せっかくニュースに詳しくて、そんなに知識があるなら、何かに活かせないかな?」という話になり、何かしたいね、となったんです。
ーーなるほど!友達のその豊富な知識を発信したり、活かしたりする方法はないかなと考えたんですね。
冨田:はい。それで、「面白かったWeb媒体のURLを紹介するSNS」を思いついたんです。その友達のように、日々ネットから情報収集をしている人たちが、気軽に読んだ記事を発信できるようなSNSです。
ーーそのようにしてアイデアが生まれたんですね。
冨田:はい。僕らはWebはざっくり作れたんですが、アプリは作れないので、Twitterで協力者を探しました。そして、大学生2人が仲間に入ってくれて、アプリの作成を始めました。
ーーエンジニアを仲間にして、本格的にアプリリリースへ走り始めたんですね。
冨田:最終的に固まったSNSのコンセプトは、現在のSNSの裏にある承認欲求のためのいいね、誹謗中傷などの逃げ場になるようなものをあえてSNSで作る。面白いと思った記事を紹介して、いいね!は誰にも通知が行きません。イメージは、YouTubeの高評価ボタンのような感じです。
ーー新しいですね。コンセプトも魅力的です。
冨田:アプリの名前は、「Link」にしました。2月に起業して、Abema TVなどメディアにも紹介していただけて、「これは行ける!」と思っていたんです。
順風満帆だったアプリ開発。なぜ失敗?
冨田:5月にWeb版をリリースし、その後アプリをリリースする予定でした。問題は、Web版リリースの時に起こりました。
ーーどんな問題ですか?
冨田:Web版は、はっきり言うとすごく使いにくかったんですね。まだ試作段階のもので。メディアに取り上げていただいたこともあって、最初ユーザー数はグンと増えたのですが、その使いにくさからすぐに使われなくなってしまって。
ーーそうだったんですか。
冨田:僕らは使い慣れていて気づかない不便さがたくさんあって。9月にリリースしたアプリ版は、Web版よりかなり使いやすくなっていたのですが、一旦ついたマイナスイメージを払しょくできませんでした。
結局、2月には会社を閉めてしまいました。
ーー厳しいなあ。やっぱり一筋縄ではいかないんですね。
ーーこれからアプリ開発をする学生にアドバイスをするとしたら、どんなアドバイスをしますか?
冨田:まず、リリースの段階がとにかくキモです。僕らもWeb版の段階で、アプリ版くらいのクオリティが出せていれば、結果は違っていたかもしれません。最初からユーザー目線に立ってください。
僕たちは、早く投資会社に投資してもらいたくて、会社も立ち上げてリリースも急いでしまったのですが、急ぎすぎるのは良くないですね。
あとは、メンバーのモチベーション管理です。メディアに取り上げていただいたときは、みんなのやる気がグーンと上がったので、そのような刺激も大切ですね。
僕たちはメンバーのプライベートに一切干渉しないスタイルだったので、それもよかったかも。仕事の時だけ集まって、休みの時にメンバーが何しているのか知りませんでした(笑)
ーー意外です!学生起業の人たちって、朝晩共にずっと一緒っていうイメージがありました。でも、そういう適度な距離感が、ストレスをためないうえで大切なのかもしれませんね。
高校生から今でも運営し続けている「Tennis Index」
ーー冒頭でもお話いただいた、テニスのまとめブログは、形を変えて今も続いているんですよね。
冨田:はい。今は、「Tennis Index」という名前のメディアに変更しています。高2の時から毎日更新し続けています。何回か閉じようと思ったこともあったのですが、お世話になったテニスのコーチも使ってくれていたり、ユーザーがかなりいるので、閉じません。僕一人でやってる分には黒字なので、これからも続けていく予定です。
ーー冨田さんは大学4年生ということですが、就職するのですか?
冨田:いえ、大学院に進んで、研究をします。
ランキングの評価システムの研究から考えを得て、データと経済学的観点から、より精度の高い評価システムの研究をしています。テストの配点や、スポーツのランキング制度に応用できるものです。
大学1,2年生は、起業やインターンだけでなく、研究を通して自己実現する方法もぜひ視野に入れてほしいですね。
ーー最後に、起業経験をしてよかったことを教えてください。
冨田:自分は、起業は向いていないかもと思いましたね(笑)というか、学生が起業するのは本当に大変で、しっかり成功するのは本当に一握りです。しかし、挑戦したことは無駄にはなっていなくて、むしろプラスでした。会社を作るにあたって、色々な法律、税金、必要な書類など基本的なことを知ることができました。これは、将来必要とされる職種すべてにおいて、絶対に必要な知識だと思います。経営のことを実務を通して知ることができるのは、なかなか貴重な経験でした。
ーーありがとうございました!
冨田さんが運営するメディア「Tennis Index」
URLはこちら! https://tennisindex.net/
「Tennis Index」は、ジュニアテニスの結果をまとめたWebサイトです。現在は、株式会社Welfie(代表は冨田さん)が運営元となっております。
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